島田虎之介 「トロイメライ」(コミック)

2 03 2015

休日にちょっとだけ目を通しておいて出掛けるつもりだったのに、いざ読み始めたらぐいぐい引き込まれて一気読みしてしまい、結局出かけるきっかけを失ってしまった。まあそれだけ面白い。
面白いと言っても出版元が「青林工藝舎」だ。マンガの鬼AXだ。「ONE PIECE」や「進撃の巨人」を読み慣れた人にはかなり読みにくいかもしれない。「ONE PIECE」や「進撃の巨人」が悪いと言っているわけではない。あちらの方がおそらくは一般的に読み易く分かり易く、こちらの方が読み込むのにコツというか慣れというか、とにかくそういうものが必要だということだ。
まず絵が独特だ。コマ一つを抜き取っても、それだけでイラストとして成立するような絵であり、ほかの誰のものとも類似を見ない島田虎之介独自の絵。「入り」「抜き」のない線。白と黒だけで構成され、スクリーントーンを使わないコントラストの高い画面。シンプルな線で描かれているのに、緻密な書き込みも見られる。スタイリッシュなのに、どこか杉浦茂やひさうちみちおを思い出させるキャラクター。
何れにせよ、これは漫画でないとできない表現であり他の方法では置き換えられない。この内容なら小説でいいよね、とか、映像化したらもっと面白そう、とかならない。アニメーションなら、この絵に忠実にキャラクター造形をするという方法も採れるが、おそらくこのマンガ独特のコマのつながりが生む時間感覚が損なわれてしまうであろう。
ストーリーも、よくこんなデタラメを考え付いたなという話なのだが、植民地支配された国の呪い、他国に蹂躙され肉親を失った悲しみ、仕事をすることの喜びと誇り、そんなことが古い壊れかけたピアノを修理することを縦糸にして、滲み出てくる。滲み出てくるのだが、それが重くはない。「どうだ、こんな悲劇だったんだ、どうだ感動しろよ、ええ、おいっ!」て感じじゃなく、「まあむかしにはこんなこともありました・・・・とさ。」みたいな。
時間があるとき、ゆっくりと読むのがいいのだろう。私はもう一回読み返すことにする。

 

トロイメライ
トロイメライ

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島田 虎之介
青林工藝舎
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